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マクロビオティックとは?

UP DATE:2020/08/30 カテゴリ:料理 Cuisine

食や健康に関心のある方であれば、マクロビオティックという言葉を聞いたことがあるかもしれません。

私は会社員時代に体調を崩し、東洋医学で治療をしていく中で、「体調不良の根本治癒を望むならば、まずは毎日の食事を見直してみては?」と東洋医学の医師からアドバイスをいただき、たどり着いたのがマクロビオティックでした。

マクロビオティックの食事法を取り入れ、これまでの不規則で偏った食事を見直し、幸いにも復調することができました。

私も経験したことですが、マクロビオティックに興味を持ち、インターネットで検索するだけでは、正直、実態がよくわかりませんでした。

それは、マクロビオティックを教えてくれる学校や、個人の方が開催されている教室などを見てみると、習う場所はもちろんのこと、メニューを含めた内容が千差万別だったからです。

挙げ句の果てに、「マクロビオティックは宗教」という揶揄をネット上で発見し、ますますわからなくなりました。

結局私は、クシとリマの2つのマクロビオティックの学校に通い、のちに会社員を辞め、結果マクロビオティックの学校でお伝えする立場になり、現在のTHE KOKONOEのシェフに繋がっています。

そんな私から見ても、マクロビオティック業界全体を見渡した時に、どのようにお伝えするのが正解なのか?わかりにくく感じる部分があるので、これから学んでみたいという方や少し興味がある方は、なおのことではないかと思い、まとめました。

「マクロビオティックとは何なのか?」

その定義は結論から言ってしまうと、組織や学校によって異なるということです。

マクロビオティックのキーワード

マクロビオティック業界全体的に共通するキーワードは、概ね以下です。

●食べたもので体はできている(You are what you eat)

食は人なり、という言葉があるように、私たちの体は食べたものでできているため、その食べ物をよくすることが、健康に寄与するという根本的考え方。

●一物全体

精製・精白されたものは、体に負担がかかることを理由に、精製されていない食物を丸ごと食べる全体食。
野菜の皮や葉っぱも無駄なく使い、米は未精製の玄米または分撞きを食べることが多い。麺類やパンなどの穀物も、全粒粉を使用したものが良いとされる。
特に精製された砂糖(白砂糖)は血液を酸化させ、体調を崩す原因となるので使わない傾向が強い。

●身土不二

人と土地は切っても切れないという仏教用語が語源。その土地の旬のものを気候に合わせて食べること。その土地で食べつないできた伝統食を食べること。自然と人間の関わり、ナチュラル志向を重んじる。

●陰陽調和

物事の判断は、陰陽理論を基にする。そして、陰陽の調和(中庸)を目指す。

●穀物主体

肉や魚の動物性タンパク質過多ではなく、米などの穀物の割合を多く食べる。

●よく噛むこと

何を食べるかと同じくらい、どのように食べるかも重要であると考え、よく噛むことを推奨する。

●化学的なもの、人工的なものは勧めない

添加物が多く入ったもの、過度に加工されている食物などは勧めない。

それぞれのマクロビオティックの定義


マクロビオティックの教育を行っている組織の特徴と定義は概ね以下になると思います。

主な違いは、誰が創立したのかという点と、動物性食品の摂取の割合です。

 1. マクロビオティッククッキングスクール リマ

以前ご紹介した日本の食育・食養の祖 石塚左玄に師事した桜沢如一が、石塚左玄の提唱した思想や生活法を応用・発展させ、マクロビオティックと名付けた元祖。その妻であるリマ氏によって創立したクッキングスクール。講師はマクロビオティック歴20-30年以上のベテランが多い。日本CI協会によって運営されている。関連会社はオーサワジャパン株式会社・リマ株式会社。

マクロビオティック=玄米菜食としている。動物性は摂取せず、玄米を基礎としたヴィーガン食。(*1)

  2. クシマクロビオティックスクール

桜沢如一に師事した久司道夫二氏よって、当初、米国マサチューセッツ州で学校が設立された。アメリカの日本食ブームで、クシでマクロビオティックを学んだシェフが、セレブリティーのパーソナルシェフとなったことで有名になり、日本に逆輸入した。現在は久司道夫に師事したパトリシオ・ガルシア・デ・パレデスが代表でスクールを運営している。KUSHI MACROBIOTICSが資格発行を行っている。

日本という温帯性気候では、動物性食品を少なく、精製しない米や様々な穀類・野菜の割合を多く取ること、日本の伝統食や発酵食品を取り入れることをガイドラインとしている。ヴィーガンではない。また、住む場所によって、食べるバランスが変わることも示唆している。(*2)
また、食が多くの社会問題に及んでいることも言及し、それらの問題解決のための「健全に生きること」がマクロビオティックであると説いている。(*5)
食べることだけではなく、体を動かすボディワークの重要性や、上位クラスでは顔を見て診断する望診法も学ぶことができる。

 3. 正食クッキングスクール

桜沢如一に師事した岡田周三によって創立した協会、正食協会が運営。関連会社はムソー株式会社。
クシマクロビオティックスクール同様に、動物性食品の摂取がNGのヴィーガンではなく、その割合を少なくすることを提唱している。(*3)

 4. 穀菜食料理学校 一慧のクッキング

桜沢如一に師事した大森英櫻の妻、一慧氏によって設立されたクッキングスクール(現在は休止中)。宇宙法則研究会が運営する。マクロビオティックは、穀菜食とし、動物性食品、乳製品、卵、白砂糖などの糖類は摂取しない。ただし、ヒーリングとして、動物性食品(鯉こくなど)を用いることがある。穀類は玄米だけでは危険という考えのため、様々な穀類のバリエーションを重視する。また、無塩食も提唱している。(*4)

マクロビオティックが誤解を受けやすい点

マクロビオティックは病気を癒すヒーリング食として使われることがあります。
海外ではマクロビオティックを学ぶことが保険適応になることもあるようですが、日本では医療行為として認められていません。
妄信的になり、マクロビオティックをすれば病気が完治すると勝手に第三者へお勧めしたり、体に良いからと押し付ける方が中にはおられ、それが誤解を生んでいることもあるようです。

また、残念ながら、過度なナチュラル志向によって、西洋医学を拒絶する方が中にはおられ、体にメスを入れることや薬を飲むことを拒絶したり、それをご病気の方に勧めるケースもあるようです。

昨今は、自分の遺伝子を検査し、食の適正を調べられるようになりました。
ヴィーガンをしていたけれど、実は動物性が必要な体質だったり、逆に、お肉が大好きだけれど、ヴィーガンが適切だったりすることも。

また、食事法は、性別・年齢によって、必要な栄養素も大きく異なってくるものですので、無理にやるのではなく、時には科学の力を享受して、早めに適正を見極めることも必要かもしれません。

マクロビオティックは医療行為ではありませんが、予防医学的観点から、食事を整えることによって、生活習慣病などのリスクを減らすことには貢献できるのではないかと思います。

参考サイト

*1 https://lima-netshop.jp/hpgen/HPB/entries/5.html?fbclid=IwAR0YkWkpgxwiPe1DUgsK784YcBeArOK_BJE4W-RgqXRs6ml4z_AFBPSTuoA

*2 http://www.kushimacrobiotics.com/kushi.html

*3 https://www.macrobiotic.gr.jp/about/faq/

*4 http://www.uchuken.com/grain/

*5 http://www.kushischool.jp/macrobiotics.html

この記事を書いた人

THE KOKONOE シェフ⽔⾕江希

筑波⼤学卒業後、外資系メーカーにてプロダクトマネージメント業務に10年以上携わる。料理学校へ転職を機に、講師業を⾏う。2016年に⾧野県戸隠に移住し、化学農薬や化学肥料に頼らない農業を夫婦で実践。旬の野菜中⼼で滋味あふれる⾷事をTHE KOKONOEで提供。世界の発酵食・長野の郷土食を美味しく頂きながら研鑽に励む。

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