Kokonoe Green Library
~食で身体を整えて、Libraryで知らない世界へ旅をする~

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食は運命を左右する

更新:2019/08/09

生きることは食べること。食をおざなりにして人生なし。



著者の水野南北は、江戸時代中期の頃の観相学の大家で、日本一の観相家といわれ、自身も食で運命を変えた「節食開運説」を唱えた人物です。

彼の経歴を簡単なストーリーでいうと、、、

小野妹子が先祖という名門家の出身ですが、10歳から飲酒を始め、酒代を稼ぐために犯罪を犯し、投獄されました。

投獄中に、牢内の囚人と娑婆(シャバ)の人間との人相に際立った差異があることを発見し、観相学に興味を持ちます。

出所後に、人相を見てもらったところ、

「あたなの寿命はあと1年です。長生きをしたければ、出家しなさい。」

と言われ、禅寺を訪ねます。

しかし、その住職から、

「1年間麦と大豆だけの食事を続けてきたら入門させよう。」

と言われたそうです。

水野南北は、その教えを守り、1年後にその禅寺を再度訪ねました。

すると、住職は、水野南北の顔を見て驚き、

「剣難の相が消えた。麦と大豆の食で功徳を積み、その陰徳が相まで変えた。入門の必要はない。」

ということになり、水野南北は観相家として修行を積むことになったのです。

自身の食を変えたことで人相が変わった実体験だけでなく、修行として風呂屋で三助になったり(体全体を見るため)、死人の相を確かめるために火葬場の隠亡までやったそうです。

こうして、人相をとことん研究し、ある意味統計学的なことも網羅した結果、日本一の観相家になったわけです。

美味しいものがいいとは限らない


「運命」ではないですが、それと密接に関わるものである「健康」は、発展した現代の科学で随分解明されてきていると思います。

必ずしも食だけが健康を左右するものではなく、先祖代々受け継いできたDNAも大きく関係することでしょう。

DNAというものも、現代の科学では、数パーセントしか解明されておらず、大半は未解のままと言われています。

また、DNAは自分では変えられない部分もあるとも言われていますが、生きる上で自分で選択し、変えていけることもあります。

それが、食事です。

水野南北はこのようなことを言っています。

「粗食の者は貧相でも幸運をつかむ」

「食事量の多少によって、人間の貧富や寿命や、未来の運命を予知することができる」

「三度の食事の質と量をきびしく定めている者は、悪相であっても財をなし、出世する。また、家の相続も果たせて、晩年は吉である」

「酒肉を多く取り肥満した者は、生涯にわたって出世栄達がない。食を慎まなければ晩年は凶である」

多くの人は、この言葉を聞き、「そんなことないんじゃない??」と思うのではないでしょうか。

実は、自分を含め、私と私の一部の家族は、食の乱れによって、健康を大きく損ないました。

自分の体験したことを他人が理解することができないのは常ではありますが、水野南北のこれらの言葉は、私にはとても響くものがあります。

水野南北は、美食ではなく粗食を提言しています。

では、現代において、一体何が「美食」「美味しいもの」の代名詞でしょうか?

バターと砂糖たっぷりのスイーツ。

血の滴るようなステーキ。

ハンバーガーに焼肉。

お寿司。

フォアグラや高級ワイン。

これらが一般的にいう「美味しいもの」の一部かもしれません。

しかし、このような食事を常食すれば、コレステロールや血糖値に影響を及ぼし、生活習慣病まっしぐらになることがすでに認識されていると思います。

たまに食べるのは良いかもしれませんが、毎日というのはどうもよくなさそうです。

かといって、様々なスピードが早い現代。使うエネルギーも多いと思います。

毎日粗食というのも、人によっては難しい場合もありそうです。

何事もハレとケのバランスが大事ということに尽きるでしょう。

また、「美味しい」という感覚は、とても繊細であり、その人のプライベートな領域のものでもあります。

つまり、「美味しい」に正解はないということではないでしょうか。

世の中のマジョリティーが「美味しい」と言っても、それを美味しいと感じない人や、アレルギーや宗教的な理由を含め、マジョリティーが食べているものを食べられない人が世の中に存在しています。

そのような人々を無視することはできないのも事実。

お料理の仕事はある意味「美味しい」を追いかける仕事ではありますが、水野南北が美食と食についてこのようなことを言っています。

成功・発展しようと思うならば、自分が望むところの一業を究めて、毎日の食事を厳重に節制し、大願成就までは美食を慎み、自分の仕事をたのしみにかえるときは、なにごとによらず自然と成功・発展するだろう。また、食をたのしむというような根性では成功・発展は望めない。食は成功・発展の基礎であり、その基礎をみだりに食いつぶす者は、成功・発展の基本を失うものである。食というものを軽視してはいけない。考えると食は恐ろしいまでに大切なことがらなのである。

私共がお出ししているお食事やお菓子は、現代のマジョリティーの「ハレの美味しさ」ではなく、「ケの美味しさ」なのかもしれません。

この本を読んで、私の恩師の言葉を思い出します。

「食べものを変えると、カラダが変わる。ココロが変わる。すると考え方が変わり、行動が変わる。そして人生が変わる。」

ここのえでは、そのようなお食事やお菓子の提供を日々目指し、精進しております^^

(キッチン担当)